【1-4: 電子技術が進歩していない70年代後半では4輪制御は難しかった】
前後4輪のアンチロック機構開発のスタートはどうだったのですか。
70年代前半というのは電子制御技術がそんなに進歩していませんでした。
78年当時、後2輪制御のアンチロック機構用のコンピュータにはトランジスタが27個ありました。このコンピュータを4輪に採用するには無理がありました。後輪2輪の場合だと、まぁ簡単な制御でも真っ直ぐ止まることができる。しかし、前輪だと片方の車輪にすごくブレーキが効いていて、片方に効いていないとなると、蛇行してしまう。前輪というのは、ものすごく細かく、精密な制御を独立に行わないと危険です。ですから当時の電子技術で前後4輪を制御するというのは難しかった。