【1-2: 60年代後半にケルシーヘイズ社が航空機のABSをヒントに開発】
つぎにABSのような働きをする機構が登場するのは。
ESV(安全実験車)の開発が盛んな頃、60年代の後半から70年代の初頭です。1969年式のフォード・コンチネンタルマークIIIにケルシーヘイズ社のアンチロック機構がオプショナルで採用されました。
これも航空機のABSを発展させたものです。ブレーキを込めたり抜いたりする粗い制御になっています。2つの後輪に独立した回転検出器が設けられ、後輪だけに使うものです。クルマというのは後輪が先にロックすると危ないのです。前輪が操舵の役割をはたしていて、後輪が安定性です。つまり真っ直ぐ止めるという役割です。クルマにはプロポーションバルブというものがあり、これで後輪のロックを遅らせなるべく真っ直ぐ止まるようにするのですが、路面のμ(ミュー:摩擦係数)が片側が高く、片方が低いとクルマは容易に傾いてしまう。これはプロポーションバルブがあっても防げません。そのため後輪のアンチロック機構が登場してきたということです。