名車には愛称がつく。キューブニックネームヒストリー
3代目キューブの「ジェニファー・カーブ」(上)と「コンセント」(下)
ふくらんだバンパーのモデルはあの女優?
20年間愛されてきたキューブは、とっても親しみやすい車。なぜって、いろんなパーツにニックネームが付けられているんです。例えば3代目キューブのリヤバンパー。これは「ジェニファー・カーブ」といわれています。

デザインをしていく作業で自然界の美しいものを参考にするというのは、デザイン界の定石。それゆえ、キューブのデザインも開発者がアメリカの女優、ジェニファー・ロペスのお尻のようなカーブをイメージしていたからこんな愛称がついたそう。独特なふくらみを持つバンパーの特徴をよく表現した言葉ですね。

ほかにも3代目のフロントグリルには2つの穴が空いていることから、「コンセント」という名がつけられたという逸話があります。ニックネームがあると、急に愛着が沸いてくるから不思議です。
「SHOJI シェード」のイメージ画(上)と「虫眼鏡トレー」のイメージ画(下)
愛称が気付けば正式名称に
3代目キューブはニックネームの宝庫。他にもたくさんのキャッチーな愛称が付けられていたようです。3代目のインテリアをデザインした、早川忠将はこのように語ります。

「フロントシートのトレーはその形から『虫眼鏡トレー』と呼んでましたね。これが運転席と助手席の間のセンタートレーになりました。ほかにはサンシェードはもともと障子がモチーフだったから障子シェードと呼んでいました。誰が決めたのかわからないけど正式名称も『 SHOJI シェード』になりました。あとは、「どこでもフック」とかも最初からそう呼んでいましたね」

ゆるいキューブのイメージによく合うかわいらしい印象的なニックネームばかり。実はこれらすべてが、公式ホームページ上に載る正式な名前になっているんです。形やイメージからつけたニックネームで呼んでいるうちに、パーツの正式名称にしてしまったとは、開発チームの想いの強さを感じます。
2代目キューブ ワッフルホイール
ニックネームがある車は名車ぞろい?
また、2代目のエクステリアをデザインした桑原弘忠はこんな話をしてくれました。

「ずっと残る車ってニックネームがあるんですよ。昔のMINIで『餃子マフラー』というマフラーがあったり、ビートルも『てんとう虫』って呼ばれていたり」

確かに、有名な車や愛された車にはいろんなニックネームがつけられています。日産では3代目のスカイライン「ハコスカ」、2代目のローレルが「ブタケツ」といったように、ニックネームがつく車は確かに名車が多いんです。

「そういうニックネームが残るような車を作っていければいいんじゃないか、と思っていましたね。ヘッドランプの形にこだわったりしていました。2代目ではホイールを「ワッフルホイール」と呼んでいましたよ」と桑原。

ニックネームがつくように、と愛を込めて作った2代目は見事人気のコンパクトカーとなり、そして今の3代目にも大きな影響を与えることに。ニックネームの歴史を振り返るだけでもキューブという車が、開発者に、そしてユーザーに親しまれてきた、魅力いっぱいの車ということがわかりますね。