苦難の末に生まれた、キューブの個性。”非対称デザイン”の誕生秘話
cubeは日本らしいクルマだと思った
イタリア・ローマ出身のマッスィミリアーノさん(以下、マックスさん)とキューブの出会いは6年前。日本に移り住み、別のコンパクトカーに乗っていたものの、「もっと理想的なクルマに乗りたい」とリサーチを重ね、探し求めた末に出会ったのがキューブでした。大好きな日本のマンガに登場するクルマを、そのまま具現化したような四角いフォルムのコンパクトカー。

「キューブを見たときに『ああ、これは本当に日本のクルマだ!』と思いました。日本に興味を持ったのもマンガがきっかけ。その中に登場するクルマはコンパクトカーが多くて、面白いなと思っていました」
マンガで読んでいたときから、「日本のクルマは小さい」というイメージを持っていたものの、キューブは購入前に車内が広いことはリサーチ済。でも、実際に店頭で見てみると、それは想像以上だったそうです。

「横開きのバッグドアで、ラゲッジスペースを開けて座っていても、頭がぶつからない。こんな風に帽子をかぶっていても大丈夫です。コンパクトカーは広いものも増えました。でも、やっぱりキューブほどのものはないですね」

白を選んだ理由は、ちょっとパールがかった色で、光が当たるとまた違って見えて良いと思ったから。自ら施したカスタマイズは、40年ぐらい前のカーレースが舞台になったお気に入りの映画からインスピレーション。レース仕様にラインを入れてカスタマイズされたデザインを真似て、好きな赤のラインをアクセントにしています。
初来日から15年。ライフワークは「日本を撮ること」。
マックスさんが最初に日本を訪れたのは15年前のこと。「マンガに出てくるのと同じ光景だ」と感動し、再び来日。その後、イタリアでの仕事を辞めて、日本に移住しました。

「当時はイタリア語はもちろん、英語はほぼ通じないし、私も日本語が上手くない。日本語学校にも行きましたが、本当に手続きからすべて苦労の連続でした。でも、困ったことがあると、日本の人はみんなが優しく支えてくれました。10年住んでいる中で英語が通じる場面が増えて、外国人にとってもより住みやすくなりましたね」
今マックスさんが夢中になっているのが、カメラでの撮影。きっかけは日本で出会ったカメラ好きな同僚からでしたが、現在はフィルムからデジタルカメラなど70台も所有するまでに。街の風景や日本人の顔を撮ることが多いそうです。

「我々ヨーロッパの人から見ると、日本の小さくて繊細なものはとても興味深い。そういうものをフィルムで撮りたいと思っています。人を撮るのも好きですね。僕は本当に日本人が好きだから」
趣味のカメラ撮影の相棒とは「夢のスポット」鳥取砂丘へも
これまでにキューブと最も遠くへ出かけたのは、鳥取県の鳥取砂丘。仕事で神戸に行く予定があったとき、鳥取まで足を延ばしたそうです。

「鳥取砂丘はネットで見つけて、“夢のスポット”みたいだなと興味を持ちました。イタリアには砂丘はなくて、日本にもたくさんあるわけじゃないですよね。写真を見ているうちに実際に行って見てみたくなりました。外国人向けの旅行情報のサイトを見ていると、日本には素晴らしい場所がたくさんあって、まだまだ行きたいところが尽きないですね」

今でも、連休の時にはあちこち出かけているとか。

「旅行のときはカメラは3台から5台程度持参。それに三脚などのツールも積み込むので、ラゲッジスペースが広いのは良い」と教えてくれました。
イタリアの家族からも好評の乗り心地
「母国イタリアはファッションやスタイルが有名な国で、デザイン性を求めたときには素晴らしいものがある。でも、イタリア車はとてもデリケートで、僕のようなメンテナンスを忘れがちな人にとっては、ちょっと良くないんです」とマックスさんは語ります。

「キューブに乗って6年になりますが、トラブルは全くなし。2年ごとの車検と、あとはオイル交換だけ。道を知らない僕はナビが指示してくれる通りに行くけれど、行ってみると道が狭いこともよくあります。キューブならそんな時も問題なく通れるのも良いですね
イタリアから遊びに来る家族からも、キューブの乗り心地は大好評。なかでも「バックシートの乗り心地が良い」とお墨付きをもらったそうです。

「イタリアでもスクエア型のクルマは販売されていますが、それはキューブよりも車体サイズが大きい車で、中が広いのは当たり前です。でもキューブはコンパクトで広い。ほかの国から来た友人たちからも、キューブを見ると『四角い!こんな車があるんだ』と言われます。次に買い替えるときにも、キューブにしたいですね」