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北国の厳しさをその眼に宿す電工の雄
雪国での仕事
雪国での仕事
 例年に比べ、記録的な寒さに見舞われた北海道、札幌市。省エネ事業を中心とした電気工事を営む北海道電気相互株式会社でも、朝8時に動き出す現場に合わせ、1時間前から社員総出の雪かきが始まる。

「朝起きるのは5時。雪かきだけじゃなく、渋滞のことも考えなくちゃ。少なく見積もって行きは50分、帰りになると1時間30分はかかることもありますから」

 運転席で工事部部長の荒関が続ける。「寝る前に天気予報は欠かさず見るんだけど、子供の頃みたいに雪を楽しみにしてではないですね。雪が降れば現場が止まることもありますし、いいことなんて一つもないですよ 」
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 会話の途中でカーナビが路面凍結の注意を呼びかけ、荒関が車の速度を落とす。寒冷地特有の「アイスバーン」と呼ばれる現象で、アスファルトの路面全体が氷の皮膜に覆われて、とても滑りやすくなる。何十年も北海道の道を走っているドライバーでさえ恐れる現象だ。
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 凍結だけではない。北国の雪には塩化カルシウムという融雪剤がまかれているため、車体に付着した飛沫が乾く際に汚れを残してしまう。ひどい時には窓が見えなくなるほどで、洗車をしないとこびりついた融雪剤が車体を傷つけることもある。

 どれも悩ましい問題だが、荒関はこうした雪害と戦いながら32年、欠かすことなく目の前の現場へ向かい続けてきた。
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冬の現場
冬の現場
 電気工事の仕事は、大きく分けて外線と内線の2通りがあり、荒関は建物の内部へ施工を行う内線工事のスペシャリストだ。荒関の所属する北海道電気相互株式会社は『工事の受注・制御・プログラム・施工・管理・保守』と、扱う業務が多岐にわたる中、現場業務の一切を荒関が責任者として担っている。
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 現在は市内の中学校新設工事のため、第1種電気工事士の資格を持っている荒関が、職長として作業に当たる。寒い日は氷点下20度を下回ることさえある寒冷地での作業は、ただでさえ危険な現場に加え、配慮しなければならない要素が増える。

「型枠さんや大工さんの現場はよく止まっていますね。かといって工期が延びるわけではないのでつらいところです」 コンクリートは凍りつき、手袋を二重につけていても指の感覚がなくなる。電気と水の相性も悪い。責任者として常に配線に気を配り、漏電や感電の恐れがないか、細心の注意を払う。
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 電気の専門学校へ行き、18歳で現場の道に飛び込んだ荒関。若い頃は現場の仲間から『クマ』と呼ばれ親しまれていた。今では、同級生だった代表を含む、総勢7人からなる北海道電気相互株式会社の中心となって活躍している。

「省エネの案件を受注するようになって、日本全国を飛び回っていました。九州に工事で行ったこともあります。最近は、また道内が多いですね」

昨今のブームもあって省エネに関する依頼は増しているという。
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「機械制御やLEDの交換、インバーターの設置など、機械を扱う業務が多いですね。施工に関しては、ほとんどを現場で学びました。制御関係は会社にWEB専門のプログラマが属しているので作ってもらいます。あくまで自分の仕事場は、現場なんです」
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安全への思い
安全への思い
 荒関をはじめとして、北海道電気相互株式会社が最も大切にしている方針がある。それは、どこに暮らしていても変わらない、すべての現場に通底する考え方だ。

「一番は安全。それしかありません。今年で会社は8期目ですが、ここまで事故は一度もないんです。どんなに寒くて辛い朝も、挨拶や声かけが大切だといつも感じます。必ずみんなの顔を見て、その日に行う作業を確認し、1日の流れを打ち合わせしてから現場に入るんです。技術も法規も変わっていく中で、時代の変化に対応していかなければ生き残ることはできませんが、現場では、変わらずに徹底している部分があります」

——— あなたにとって『プロフェッショナル』とはなんですか?

「経験の中から正しい物事を見極める力、ですね」
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1966年02月16日
(北海道久遠郡)

職種:電気工事士

職歴:32年

会社名:北海道電気相互株式会社

荷室に取りつけた木製の仕切り棚は何も積んでいない時は作業台に。荷下しの後は持ち上げることもでき、収納した配管ベンダーやツルハシなどの長さのある工具を取り出しやすいようになっている。後部座席の裏には、細かな工具を小分けに収納できるラックを固定している。