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そして現在進行形へ

Z32 フェアレディの歴史を振り返り、Zの誕生から現在までの軌跡を辿ったフェアレディZ物語もいよいよ現在進行形であるZ32型にたどり着きました。
現行ZがZ31からモデルチェンジされ登場したのが89年7月。今年が98年ですからこの夏で9年が経過しようとしています。しかし、そのスタイルは今現在見てもその時間の経過を感じさせるものはなく、適宜進化を与えられたZの完成度は現在でも向上し続けているといって差し支えありません。ではその変遷を眺めていきましょう。


スポーツカーの時代 到来する

スポーツカーとしてのZを造るために妥協をしたくない。そんなエンジニア達の情熱を秘めたZ32がデビューした89年。この頃を振り返ると、スポーツカー達が多く市場に送り込まれていた。
S30フェアレディZが登場して20年目のこの年、R32スカイラインにGT-Rが復活し、マツダはユーノスロードスターをリリース。翌90年にはホンダNSX、三菱GTO、そして91年にはスズキカプチーノ、アンフィニRX-7、ホンダビートがスポーツカー市場送り込まれた。特に1600ccエンジンを搭載するロードスター、軽自動車とNSXという全く異なる価格帯で登場したミッドシップスポーツ、フルタイム4×4とハイパワーエンジンを組み合わせ、ロードゴーイングレーサーを髣髴とさせるスカイラインGT-Rやスペシャリティー系のGTO・・・・、と実に様々なスポーツカーへの要求に回答が出された時期でもあった。


拡大 軽量化 高剛性化
新たな可能性を得たボディー&シャーシ


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この時期に登場した現行Zにも多くの面で新たな進化が与えられていた。スタイルこそZと一目で解る伝統的なスタイルが与えられたが、Z31と並べるまでもなく、ロングノーズ+ショートデッキというスタイルはキャビンフォワードスタイルへと変更され、均等的なプロポーションに変革されていた。全長×全幅×全高の3サイズをZ31の300ZRと比較するとさらに興味深い。

Z32の2シーターT BAR ROOF車が
4310mm×1790mm×1250mm。
2by2が4525mm×1800mm×1255mmとなる。
300ZRとの差は2シーターで -95mm×+65mm×-45mm。
2by2が -80mm×+75mm-55mm
と、全長短く、全幅は広く、かつ低くされた事がよくわかる。
逆に従来型の2シーター2320mm、2by2が2520mmだったホイールベースは2450mm、2570mmとなり、+130mm、+50mmとこちらは延長されている。
こうしたプロポーションは前後のオーバーハングの短縮化も効果的に作用している。もちろん、視覚的にも225/50R-16というタイヤがボディー四隅に陣取るスタイルは、まさしくロー&ワイドの安定したスポーツカーフォルムを印象づける事になる。 このワイドになったボディーは前1495mm、後1535mmと300ZRに比べ+40mm、+20mmもトレッドの拡大を許容し、前ストラット、後セミトレーリングアームからレイアウトを一新、4輪マルチリンク+HICAS(ターボモデル)方式に改められたZ32型。その潜在能力はZ31型をはるかに上回る。

拡大されたにも関わらず、ボンネットフードやボディー下部の一部にアルミパーツを使うほか、樹脂製パーツを使用するなどして軽量化への配慮もぬかりない。
VG30DE搭載車の2by2T BAR ROOF・ATで車重は1480kg。ターボエンジン搭載モデルの5MTで1550kg、ATが1570kg、となっている点にも注目だ。
また、ボディーの骨格部の溶接部の長さや溶接方法、プラスティック樹脂を剛性補強剤に使用するなど、重量増加を抑えつつZ31と比べて曲げ剛性で35%、ねじり剛性で20%向上させている。
今回のモデルチェンジで、2by2にはT BAR ROOFが標準となり、2シーターのみ標準ルーフが選択できることになった。


Z32
FAIRLADY