Refine

曲面多用の新デザイン
直線のリアガーニッシュが新型を予感させる


Z31のデビューからちょうど3年目の秋に施されたマイナーチェンジは、主に直線的だったボディーシェルに曲面を多く与えることで、新たなインパクトを見るものに与えてくれた。現在同様、排気量、ボディーサイズ両面で規定されていた5ナンバー、3ナンバー枠は当時、ボディーサイズが1700mmを越えるとエンジン排気量が2000cc未満でも税率が上がっていたため、その曲線美はボディー幅により制約の少ない3000シリーズの方がより強くなっていたのが特徴だ。
オーナーやファンならずとも、3000シリーズのフェンダーラインの迫力には魅了されたはずだ。そのディテールを眺めても従来のスリークな面構成だったボディーサイドビューは、Zのロングノーズ、ショートデッキというスタイルを強調すると同時に、低さ、長さを印象づけるのに大きく貢献していた。面をフェンダーからタイヤの外周にそってカバーするリップのラインで引き締めることで前後のウエッジジェイプもより強調されていたように思う。
新型ではフェンダーパネル全体にボリュームを持たせることでより、ワイドさを基調にした意匠に変換する事に成功したことが良く分かる。

ここに、2年後にデビューを控えたZ32の雛形を見る、とするのは強引かもしれないが、Zが新たな方向性に歩きだすことを予感させるには充分なスキンチェンジだったと言えるだろう。
これに合わせ、リアコンビネーションランプの意匠も、左右独立したものから、横長ガーニッシュを用いることで左右一体化を図り、フェンダー同様、ワイド感の演出に一役かっている。また、T BAR ROOFのグラストップにミラーコートも施され、快適性の進化もぬかりがない。こうした変更によって、ボディーサイズに変更となった部分も多く、特に300シリーズの後輪トレッドの拡大は見逃せない。


300ZR登場

今回のマイナーチェンジでZは車種体系にも変更が加えられた。スポーツ指向のZRシリーズ、そしてZ31のイメージリーダーでもある300ZXの2系統にすることになり、メインエンジンもDOHC4バルブ+インタークーラーターボのRB20DET、そしてATのみと組み合わされる300ZX用VG30ET、そして5MT、ATどちらも選択可能な、300ZRシリーズ用のV6DOHC24バルブエンジンのVG30DEの3機種構成となる。
魅力的、且つ迫力に満ちたボディーと300ZR用のツインカムユニットのコンビは今回のマイナーのハイライトでもある。10.0という高い圧縮比をもつ新しいV6ツインカムエンジンが、ネット表示で190PS/6000rpm、25.0kg-m/4400rpmとVG30ETの195PS/5200rpm、31.5kg-m/3600rpmという数値を見ても明らかなように、VG30DEのパフォーマンスがかなりのレベルにあることがわかる。

ロングクルージングをATでこなすドライバーにはZXを、そしてマニュアルトランスミッションでスポーツドライブを楽しむドライバーにはZRを、とキャラクターのすみわけも明確になった。
また、2000シリーズはV6ターボモデルが姿を消しZRシリーズに一本化されたのも特徴である。同様にT BAR ROOFも200ZR-1以上に標準化されたことで、カタログの車種名からT BAR ROOFという文字が消えている。また、VG20ETシリーズかRB20DET系への転換によって、ミッションは5MT、2by2ZR-2のみ4ATも選べることになった。
さらに88年6月には国内で認可になったばかりの50%ロープロファイルタイヤ、ビスカスLSDをオプション採用。また、4WASと呼ばれたABSも用意されるなど、多くの面でZ31の進化は止まらなかった。

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