Turbo

そして130最終章へ

79年12月。一台のエポックメイキングな車がニッサンからリリースされた。量産乗用車としては初めてのターボエンジン搭載車となるセドリック、グロリアがそれだ。ボンネットフードを開けると、すでにおなじみになったはずのL20Eに、Turboの文字が刻まれた黒の結晶塗装のカムカバーが与えられている。

その注目すべき出力は145PSと、L28Eと同等。最大トルクこそ21.0kg-mと、若干下回るものの、2リッターエンジンとしては、出色のハイパワーユニットと言うことができる。
また、排気ガスの圧力を使って吸入空気量を増加させるというターボは、エクゾーストノートが低くなる、という二次的なメリットも生んでいた。しかし、スロットルを踏んでタービンのブーストが高まると、室内に明確なタービン音が届いた。その時の加速感は、それまでのどんなハイパワーエンジンや大排気量エンジンのそれとも違う独特のものだった。

セドリック、グロリアといえばラグジュアリーなブロアムを頂点とするグレード構成のなかにあって、デビュー当時のターボモデルはミッションも5MTのみ。なかでもターボSというグレードは標準でアルミホイールを備え、走りを前面に打ち出したかのようなスタンスは、高級車セグメントの車にあってひときわ光るものがあった。
その後、80年3月にブルーバードSSSターボが。同年4月にはC211系スカイラインにもマイナーチェンジと同時に2000GTターボが登場している。排ガス規制で低下した、と言われ続けていたパワーは規制前をも凌駕することになったのである。

そして、130系Zにターボモデルが投入されたのが82年10月。次期ZであるZ31がデビューまで1年を切った時だった。セドリック、グロリア、ローレル、スカイライン、そしてレパードへと搭載されたL20ETが何時、Zに搭載されるのか。ある意味でファンはその時を首を長くして待っていた。
そしてそのニュースが届いた時、ファンの心をくすぐるアイテムとして、国内では初採用となった215/60R15というロープロファイルタイヤもターボモデルのトップグレード、Z-T、そしてZ-T-BARには標準で装備されることになった。

嬉しいことにターボエンジンを搭載するZは 2000のZ、Z-L、Z-T、Z-T-BARと、フルグレードでチョイス可能となり、多いに選択肢を広げることになったのである。
これで130系のZで選べるパワーユニットは、L28E、L20ET、そしてL20Eと3機種になる。パワーとトルクはそれぞれ、155PS、23.5kg-m、145PS、21.0kg-m、125PS、17.0kg-mとなり、おのずと税制上、価格面でも魅力的なターボモデルに人気が集まっていった。

FAIRLADY