鈴鹿サーキット

知りたいこと、レベルアップしたいことが増えた。

作業練習で、楽しかったのはタイヤ交換。5秒台を目指したが、オーバーしてしまった。もっと練習が必要だと痛感した。
サーキットではタイヤは気温、路面温度、空気圧を15分おきに確認する。太陽の光を利用するウオームアップも初めて見た。
決勝戦では、2回のタイヤ交換作業が発生した。タイヤ交換は2名以内で行うこと、給油と同時にしてはいけないという決まりがある。何にも増してスピードが求められる。メンバー同士の意思の疎通というか、阿吽の呼吸が重要だと感じた。やはりキーになるのは、信頼しあうチームワークだ。それと5月というのに真夏のような暑いコンディションだったので、タイヤのチョイスもかなり重要だと認識した。
リヤブレーキパッド＆ローターの交換も経験した。とても印象に残った作業だった。
このプロジェクトに多くのメカニックが参加、経験することで、TS全体のレベルアップにつながり、日常の業務に対する意欲も向上すると思う。

見習いたい、妥協なき姿勢。

今回のプロジェクトに参加して、レースの厳しさ、緻密さを知った。
コンマ以下の数値にまでこだわり調整していく姿、完璧なセッティングができるまで妥協を許さない意思、やはりレースの世界は凄いと思った。このような徹底的に追求する姿勢は、ぜひ通常の業務にも役立てていきたい。
レースでは、天候の状態や路面状況など、刻々と変化するコンディションにも、正確かつスピーディに対応しなくてはいけない。臨機応変に対応する力、常に正確なセッティングを行う技術力、ひとつの目標に向かうチームワーク力…。ひとつ欠けても勝利は勝ち取れない。しかし、これはレースだけの世界ではない。お客さまに安心・安全に、そして快適にお乗りいただくための、私たちの仕事にも通じていることなのだ。
日頃の業務では気づかないことを、たくさん知ることができた。もっと勉強したい、レベルアップしたいという、興味も意欲も出てきた。この経験は、自分にとってパワーアップしたエンジンを搭載したような気がする。

この貴重な経験に、チカラが湧いてきた。

ファクトリーでの事前整備作業では、アライメント測定・調整などを行う。アライメントの測定は、ひとつでも条件を間違えるとすべてに影響するため、何度も確認を行った。アライメントが適正でないと、直線、コーナーでの違和感、タイヤの摩耗などさまざまな症状が発生してしまう。レースマシンに限らず一般車にも重要な作業だ。
サーキットに入ってからは、タイヤの空気圧調整やアライメント点検、ブレーキローター/パッド交換、オイル交換などを体験した。時間の許す限り入念な車両点検を行う。やはり整備士の基本はここにあると、改めて認識した。
もし万が一、レース前の点検で不具合を見落としていたら、ダイレクトにレース結果につながってしまう。点検・整備の重要性を肝に銘じた。
ディーラーのメカニックでは経験できないことができた。レースに関われる機会はそうある物ではないが、またチャンスがあったらぜひ参加したい。帰り道、どこからか心地いい達成感とやる気がわいてきた。

この経験は、何ものにも代えがたい。

ファクトリーでの事前準備を終了し、鈴鹿サーキットへ向かう。10トントラックとトレーラー２台に、車両と機材を積込み大移動。その大きさ、荷物の量に圧倒される。
サーキットではピットの設営から始まり、アライメント測定、タイヤの準備と、公式予選・決勝に向け万全の準備作業が進んでいく。ここでは何よりスピードと確実性が求められる。
予選終了後、明日の決勝での作戦をチームで話し合う。張りつめた空気の中にも、みんなの闘志が伝わってくるようだった。
ついに決勝当日、5月にしては暑い日。気温29℃、路面温度39℃、タイヤにもドライバーにも厳しいコンディションの中、1周およそ5.8kmを52周する闘いがスタートした。自分が携わったマシンが疾駆する姿は、なかなか感動的だった。
このプロジェクトに参加してみて、日常業務では体験できないことがたくさんあり、実に楽しかった。レースに関われたことは、これからのメカニック人生の宝物になるにちがいない。

メカニックの重要さを再確認した。

今回参加して特に印象深かったのは、３つある。
まずピット内は床も作業台も工具も常に整理整頓されていて、緊急なトラブルにも迅速に対応できるようきっちり整えられていたことだ。作業効率も断然いい。職場でも整理整頓をもっと徹底し、より以上に作業効率のアップを図りたい。
２つめは、テスト走行からマシンが戻ると、すぐさまドライバーの意見に耳を傾け、熱くコミュニケーションをとっていたことだ。一人一人がそれぞれの役目をしっかり行うことは当然だが、それ以上にチームワークが重要だと感じた。
そして３つめは、アライメントの調整ひとつとっても、制限された時間の中でも何度も何度も確認が行われ、メカニック作業の大切さが身にしみた。入念な確認作業こそ、整備の原点なのかも知れない。
私もお客さまの声を真摯に聞き、安心・安全にお車にお乗りいただけるよう、ひとつひとつの整備を確実に遂行していきたいと、強く思った。メカニックが自分の整備に自信をもってこそ、安心して乗っていただけるのだから。

この体験が、メカニック魂を呼び覚ました。

鈴鹿の初日、サーキットに到着すると、ピットに給油タワーを設営することから始まった。給油タワーにも高さ2000mm以下というレギュレーションがあり、ギリギリの調整をする。まさにマシンだけでなく、機材の配置やメカニックが作業しやすい場所づくりなど、ピット設営からすでに闘いがスタートしていることを実感した。
レース前日の作業としては、15分おきの気温と路面温度の測定から始まり、エア抜き→窒素充填の工程により窒素充填率をアップさせ、タイヤの空気圧を調整する。次にアライメントのサポート器具取り付け、キャンバー角を約−3°48′にセッティングするなど、明日の走行準備が完了した。
アライメントの取り付け方法、その調整回数、そしてきめ細かなタイヤ管理と、驚くことばかりだった。走行後は温度や摩耗具合はもちろん、付着したタイヤカスの除去やホイールの清掃まで、きっちりと作業をしなくてはならない。
この貴重な経験を通し、メカニックの心構えや考え方を改めて胸に刻んだ。