【1-1: 鉄道車輌のフラット現象や飛行機のタイヤのバーストを防ぐためにABSが生まれた】
ABSはいつ頃、どんな考えから生まれたのですか。
鉄道車輌に強いブレーキをかけると車輪がロックし、車輪とレールが磨耗します。このため車輪外周に平坦面ができ、車輪がうまく回らず騒音を出すようになります。
これをフラット現象と言うのですが、このフラット現象を防ぐために、1936年にドイツのロバートボッシュ社が鉄道車輌用のABSの特許を取りました。そして第二次大戦直後の1947年に、英国のダンロップ社が航空機用のABSの特許を取りました。どちらも機械式で、名称もABSではありませんでした。
航空機の場合は、車輪をロックするとタイヤがバーストしてしまいます。ですからそれを防止するための技術でした。制御も粗く、ブレーキをかけてロックしたらブレーキを解除して、またブレーキをかけロックしたらすぐ解除する、という単純な構造だったようです。鉄道車輌や飛行機ならこういった単純な構造で充分なのですが、クルマだとこのような単純な制御を行うと真っ直ぐ走れません。例えば、ブレーキをかけたり解除したりを前輪の左右で行うと、ある瞬間に片側だけブレーキが効いて、片側が効いてないということになり、ハンドルを取られたりして、非常に危険な状態になります。クルマの場合には、ロックしたら解除するという繰り返しでなく、本当にロックするか、しないかのギリギリの所でブレーキの圧力をコントロールしなければいけません。