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左ハンドル仕様の登場とフェアレディの誕生
発売から7カ月。60年1月には輸出向けに仕立てられたSPL212が発表される。それに伴い右ハンドル仕様、つまりS211は事実上生産を中止された。
車名は当時、ブロードウエイでロングラン記録を更新していたミュージカル、「Oh my fairlady」に由来し、コンパクトで可愛らしく、大勢の人から愛されて欲しい、という願いを込めて、フェアレディと命名された。
このモデルは、単にハンドル位置を右から左に変更しただけでなく、それまで採用されていたFRPボディーを鋼鈑製ボディーに変更。フロントサスペンションも、リーフリジットからトーションバーを採用した独立懸架に変更された。また、バンパーにはオーバーライダーも追加されている。
エンジンはC型から発展させ、ストロークを12mm延ばし、排気量を201cc増加させたE型を搭載。この1189ccとなったエンジンは、最高出力48PS、最大トルク8,4kg-mにアップ。高速走行性能は更に高まり、この小柄な4シーターコンバーチブルを132km/hまで引っ張った。
また同年10月には、同じ排気量のE型ながら、さらに12PS、0.9kg-mを上乗せし、高回転型に味付けされたエンジンを投入。カタログデータの最高速に変わりはないものの、到達時間は大幅に短縮されたはずである。また、SPL212同様、制動力はフロント・ユニサーボ、リア・デュオサーボを備えることで、ブレーキ踏力の軽減も図られている。
フェアレディのスポーツカーとしての外郭は本格的に固まりはじめ、さらに洗練され、そのコンセプトは62年に登場するダットサンフェアレディSP310へといかんなく引き継がれてゆくのである。
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当時のカタログのコピー
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